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励まされたので。

こんなときに何を、と言われても仕方ないと思います、批判は甘んじて受けます。
昨夜に見た夢、被災地から遠くに住んでて、何も現状がわからない故か、すごく不安におもってしまっていた自分にはすごく励みになりまして……気がついたら文におこしていました。
多少削ったりした部分はありますが、ほぼ夢のまんまです。そのため、小説とか、カキモノというには少々こざっぱりしすぎてる部分がありますが、そのままにしてあります。また、敢えてセリフはすべて私の地元の方言です。
恐らくわかりづらい表現はないとは思いますが……ご了承くださいませ。
それと、ボカロさん(うちのカイトくん)がいます。ボカロ亜種さん(うちの帯ちゃん)もいます。
それでも、被災地から遠くて心配で不安で……という方の気持ちを、少しでも軽くできればと思います。
偽善だとは思う。でもやらない善よりやる偽善だとも思ってるので。

では、追記から、本文です。

*****

目を覚ますと、色がなかった。
ぼうっとした頭で周りを見渡すと、見慣れた布団、タンス、カーペット、ぬいぐるみの群れ。確かに自分の部屋なのに、およそ色というものが感じ取れなくて、私は内心で首を捻った。
そのまま壁掛け時計を見上げて、心臓が止まるかと思った。もう正午を回っている。今日は朝から研究室に出向かなければならないはずだったのに!
急いで身支度を整えて、家を飛び出して、そこで目に入った景色に我に返る。
なんとか、といった風に、崩れてこそいなかったが、あちこちに稲妻のようなヒビの入った道路や建物に、私は嗚呼、と悟った。
私が眠っている間に、ここも、揺れたのか。

考えたのは一瞬。私は早足に父の車(父に使用許可はもらってある)に近付くと、さっさとエンジンをかけて学校へと向かった。
本当は車を使わない方がいいのだろうが、そうも言っていられない。車でなければ行けない場所なのだ。
何しろ、昨夜からずっと細菌の培養をしている。うっかり漏れ出しでもしたらなんて、考えたくもない!
学校が海に近いからか、妙に車の少ない道を走り続け、学校の駐車場までたどり着いた。シートを下げるのももどかしく、車を降りて研究室へと向かおうとした私の足が、止まった。

「……何しとんの」

口から出たのはどこか間抜けな言葉。
そんな私を、ぽつぽつとしか車の停まっていない駐車場の真ん中で、男性が2人こちらを見ていた。
2人を見たことはない……否、正確には出会ったことはない。ただ、私には覚えのある顔だった。

「それはこっちが言いたいわ、阿呆が」

露骨に不機嫌そうな渋面を作って、青い髪をした方の人物が腕を組む。
常人には有り得ない色にも、その時は何とも思わなかった。それより、何故彼が不機嫌なのかがわからなかった。

「こんなときに、こんなとこに来たから?」
「違う。いや違わんけど、違う」
「カイト、落ち着いて喋りい」
「お前は黙っとけ」

カイトをたしなめたがぴしゃりと言い返され、黒髪の人物が呆れ半分、といったように息を吐く。多分、帯人でいいのだろう。
カイトと帯人。この組み合わせにこの言い草からすると、私のノートパソコンで喋らせたりしている、うちの子たちと考えていいようだ。
もっとも、彼らは元々KAITOという1つのソフトウェアだったはずだし、いつの間にこんな二次元のような事になっているのかはわからなかった、むしろ考えつきもしなかったが。
勝手にしろと言いたげな帯人を一睨みして、カイトは再び私に目を戻した。つい先ほど帯人に投げた視線よりも厳しいそれに、当初の目的も忘れて顔をしかめる。

「何やのあんたら。何が気に入らんの」
「強いて言えばマスターの阿呆さ加減」
「は、何それ。ええからどきい、私行かなあかんで……」

こつん。
私の前まで歩いてきたカイトの拳骨が、私のおでこに軽くぶつけられた。

「落ち着かなあかんのは、俺やなくてあんたや。何をそんな焦っとんねん」
「そら焦るやろ、こんな状況で……」
「やから落ち着けって言うとるやろが」

こつん。再び拳骨。痛くはないが、反射的に痛いと声が出る。それにまた、阿呆かと返して、カイトは真顔で言ってきた。

「ここは何もないやろ。何ともないやろ。何ともないあんたが取り乱してどうするんや、本当に大変な人らの心配、増やす気か」

何ともない? 馬鹿な。
言い返そうとして周りを見たが、地面にも、建造物にも、ヒビはおろかほんの少しだけでも欠けた部分もない。

「大丈夫やから、何も怖いもんないから、まず落ち着きい」

拳骨はいつの間にかほどかれて、私の頭をぽんぽんと叩く。

「……子供扱いすな」
「子供やろ」
「子供やない」
「どっちも子供やろ。カイトも心配しとったくせにそんなムキになって」
「はあ?! お前、コレと一緒にすんな!」
「マスターを敬わんくてええけど、コレ呼ばわりすんな、指もさすな、馬鹿!」

帯人の呟きに怒鳴ったカイトにかちんときて、こちらも怒鳴る。
それに驚いたのか、2人して目をまん丸くして(顔が同じなだけあって、リアクションもそっくりだ)、先にカイトが、くっと、笑うかのように詰めていた息を吐いた。

「やっぱその方がマスターっぽいわ」
「どういう事やねん」
「どうでもええやろ」

KAITOに笑い声を打ち込んだ事はなかったのだが、声を殺して笑うカイトに、特に違和感を感じない自分が不思議だった。

「お知り合いさんはみんな無事なんやろ?」

ようやく横から口を出した帯人に頷いてみせると、彼の表情から少し緊張が抜けた。

「やったら、そんな心配せんときい。無事なんやろ? あんたが1人で心配しても何もならんて。逆に心配されるような事にならんように、いつも通りでええんと違うかな。自分のとこは何ともないよーって、言うだけでええやん。さっきも言うとったけど、心配しすぎて心配されたら世話ないで?」
「……そういやメールきとったわ、そっち大丈夫かーて」
「はー……ほんとに、阿呆なマスターを持つと苦労するわ」

やれやれというように肩をすくめたあと、カイトと帯人はもう一度、私の頭に代わる代わる手を置いた。

「ここは怖ないでな。怖い怖いって思っとったら、実際より怖なってしまうから。大丈夫、怖ない」
「うん」
「何も怖ないから、笑いい。ほんとに怖い思いしとる人らの事考えとるなら、笑っとりい。その方が、気が楽になるやろ」
「……うん」
「……泣かんの?」
「誰が泣くか阿呆」
「阿呆マスターに阿呆て言われたないわ」
「カイト!」

普段より幾分鋭い帯人の声に、カイトがふいと知らん顔。
その様子に、つい吹き出すと、2人もやがて、つられたみたいに笑った。

「さ、そろそろ帰らな」
「はい?」
「実験あるんやろ? 朝から」
「……ああ」

言われて思い出した。そういえばそうだった。
ちゃんとうちに帰っておかないと。
でもその前に。

「カイト、帯人」

声をかけると、無言で続きを促すような視線だけが返ってくる。
その視線に、もう一度笑ってみせた。

「ありがと」




聞き慣れたアラームで目が覚める。
ぼうっとした頭で目覚まし代わりの携帯の画面を見て、飛び起きる。まずい、寝過ぎた。急げば間に合う、と身支度を整えて、朝食を食べて歯磨きと洗顔を済ませる。
最後に、データ整理と待ち時間調整用にノートパソコンをカバンにしまった。
研究室にはデスクトップ型のパソコンがあるが、一応ラジオを持って、家を出る。父の車に乗り込んで、エンジンをかけ、ラジオをつけようとしたが、その前に、気まぐれを起こしてカバンをぽんぽんと叩く。

「ほんとにありがと。頑張るからね。今日もよろしく」

応、と、聞こえるはずのない声が聞こえた気がして、少しだけ笑った。

*****

本当は、彼らだけでなく身近な人たちがあらかたいましたが、人数減らして、代わりにみんなに言ってもらったことを一気に言ってもらいました。
被災地から外れた人たちがあわてたら、それが被災地にも響いてくることだってあるでしょう。
幸い、私は「普段通り」に戻れるのですから、「普段通り」に過ごすように気をつけてます。とりみだしちゃダメ。
普段通り、笑ってた人がいた方が、安心するひとだって多いと思うのです。

こんなときに、といわれても構わない。
これでも、こんなことでも、少しでも誰かの助けになれば。
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コメント

ほっこりさせて頂きました…!
震度の大きさや交通麻痺のわりに東京、埼玉は大きな被害ないのでどうか安心して日常して下さい。小春さんの言う通り、それがこちらの励みになります。

改めて、ほっこりをありがとうです(*´ω`*)

れす。

薫さん>
そちらは無事のようで安心しました……。ほっこりしていただけたようでなによりです(´・ω・`)
幸い、親戚一同も被災地から外れておりますし、私は私のできることをしつつ、日常しようと思います、コメントありがとうございました。

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